第60章 塚本慎平の自業自得

翌日。

古川有美子はベッドから目を覚ました。彼女は心地よくベッドで伸びをして、「久しぶりにこんなに気持ちよく眠れたわ」と言った。

右側に体を向け、一回転すると、そのまま男性の腕の中に転がり込んだ。

目の前の人の壁を見つめ、顔を上げて自分を抱きしめる男性と視線を合わせる。

目をパチパチさせる。

もう一度パチパチ。

「目に何か入ったのか?それとも俺が誰だか分からないのか?」

「目を閉じて」

塚本郁也は意外そうな顔をした。ん?彼女は目覚めて自分を見た最初の瞬間に驚かないなんて。きっと心の中で自分と一緒に寝て朝目覚める場面を想像していたに違いない。

自惚れの強い男は目を閉じ、期待す...

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